101226 直さんとアートコンストラクターの話

みゆき食堂でご飯を食べた後、迴槽店で、そういえば、とこちらの長男である直(すなお)さんが、前日のトークの中で話したことを振り返ってくれた。

僕が話した、こんなところがあるよ、だけではなかなか行きにくくて、ツアーにして一緒に行っていろいろ段取りをしてあげることで島に来てくれるという話のことに触れてくれた。

綿の作業+島の何か。
季節の行事、習わし、出来事。シーカヤックや山菜採りや紅葉狩りや。

それから、四国に外国人がたくさん来るところがあるって言うてたやん、ということになり、それはつまり徳島の神山のことなんだけど、そんなんエイミーに取材に行かせばいいやんということで、あっさりと話が進んだ。

言ってみるもんだなと思うのと、ちゃんと言わないといけないなという思いと。
そういう情報はとりあえず放りこんでよと優しく注意してくれた。

ツアーはCDMジャパンの臼井さんがやろうとしているから連携してみれば、とのこと。
前日に伺った迴漕店による農業の取り組みについて話す中で、昼食をしながら教えてもらった、漬物は比較的に自由にやりやすいという話をすると、実は海の中の細菌と漬物が反応してよくないということを教えてくれた。

すっかり忘れてしまっていた話なんだけど、

中道を歩くと驚くほど風が少ない。

あとは、青森から来られた日沼さんご夫婦。
旦那さんの智之さんは現代美術家の川俣正さんと共に活動されている建築家。
この人の瀬戸内評はこうだった。

カスタマイズされた風景、わかりやすい文化だということ。

たとえば白石島の対岸に見える福山の工業地帯、北木島の石切り場、漁船。
こうした目に見えるものが、この土地にいた人の生活を支えるものだったというのがとてもわかりやすいのだと。

一緒にお風呂に入って、お風呂やら東京インプログレス−隅田川からの眺めの話。
アートコンストラクターという概念はとても興味深い。
川俣さんが作るものって、土木的なものが多いというのもあるのかな。
あるいは自分の興味がそこからか。

ちなみに、瀬戸内国際芸術祭2010の会期が終わってから参加したこえび隊の活動に、川俣さんの向島プロジェクトがあります。

島つながりとしてまとめようとしているのかはさておき、僕は一貫して、川俣さんの活動に関心があるのだなとあらためて思いました。

101226 綿とみゆき食堂の話









左:この日の定食
右:島でとれた天然ひじき









左:ひょうたんかぼちゃ
右:島のかき揚げはいつもおいしい海老が入ってる




















翌日のお昼、みゆき食堂での話。
綿をご自身で作られていて、白石でどんな事をしているのか興味を持ってくれた方が来てくれました。
ちょうど、息子さんを白石島文化祭2の鞆の浦を巡る船のツアーに参加される予定だったので。

こちらもメモ書きになってしまうのですが、

・綿は交配しない。

・織るというのはハードルが高い。

・編むのがいいのでは。モチーフを作る。

・原料でやるのはまったく割に合わない。

・作家の人でも時給750円換算でやっているが、手紡ぎとなるとダメ。時間がかかりすぎる。

・最近、綿の価格が上がっている。不安定に。

といった、綿の動向を教えてもらいました。たしかに織ることは難しいし、割に合わない。だからといって、綿との関わりがそれで終わるのかといえばそうではなくて、綿から着るものへとつながる一連のものとして捉え、「衣」に触れるにはどうするのがよいか?という考えを持たれていたように感じ、とても興味深い話ができました。


次はみゆき食堂の話。

この日の献立は、白ご飯、うどん、冷ややっこ、おから、島で採れた天然ひじき、島で採れたえびと白身を混ぜたかきあげ3つ、紫芋・ひょうたん南瓜・さつまいもの天ぷら(全部みゆきさんが育てたもの)、エンドウ豆(島の方にもらったもの)、島のみかん。これで500円。

お米とうどんは笠岡産。これをみゆきさんは「趣味」と思ってやってる。ボケ防止ですよと。

ボケ防止という言葉も、ピンとこない、まあそんなことはほんとは思ってなくて自然に。

自分で作って残ったものを出しているからね、と付け加えていた。

お店を始めたのは平成元年。それまで近所に食堂があったけど、都合でお店をやめられた。それでは島に工事に来る人とかがお昼ご飯に困るだろうからということで食堂を始めた。

この日も電話をすると、開龍寺という島のお寺掃除に行き、その帰りに自分の畑に寄って野菜をいろいろと収穫して帰ってきたところ。

まだ準備も何もできてないから30分後に来てと。


そんな話をしたのでした。
今は臨時でお休みが続いてるのだけど、またいつか食べたい本当に素敵なお店です。


101225 白石島に関わる団体の話









左:回漕店のすなおさん
右:ハート・アート・おかやまの田野さん









左:白石島内外の人が集まりました。
右:しらいし日和茶









左の写真のかごの中にははっさく?かごを置いていると勝手に増えていきそうな予感。









左:路地を歩いてお菓子の買いに
右:しらいし文庫。折りたたみのテーブルが本棚になります。









左:夕食に出たとても豪華なお造り
右:夜遅くまで続く話


もう9ヶ月ほど前のことになりますが、2010年の暮れ、12月25、26日とNPOハート・アート・おかやまが主催する「白石島文化祭2」に参加してきました。
白石島回槽店の方との立ち話から生まれた企画で、いわゆるパネリストのような格好で少し話をさせていただきました。
外から白石島に関わっている団体はいくつかあるけれど、互いにどんなことをやっているのかってあんまり知らないよね、じゃあ集まってみようよということで設けられた場です。

中西屋さんの大広間に「しらいし文庫」と名付けられた図書室ができ、そこにコタツが並びました。
それから、その日の昼間に行った島の子どもたちが撮った写真をパッケージにした白石島の桑茶。

この日に集まったのは、

NPO法人CDM JAPAN
ハート・アート・おかやま
NPO法人タブララサ

の3つに加え、

白石島迴漕店

が島からエントリー。
この企画の言い出しっぺが白石島回漕店の@sunamnさんです。

その他にも青森や京都のアーティストの方など。
まずそれぞれが団体の説明をして、その次に白石島や笠岡諸島でどんな活動をしているのかを話しました。
タブララサが白石島との関わりが一番浅くて、他の団体はレベルも高くてとても勉強になりました。

この日、一番楽しみにしていたのが、白石島迴漕店のすなおさんの話。
話題が豊富すぎるのでメモですが、列挙します。

・「迴漕」という言葉がつく事業者はもう日本で2、3しかない。この言葉自体は300年ほど前から使われている。
・迴漕とは、船を使った運送全般を指す。陸上から船への荷役をしていた。

・白石島迴漕の4つの特徴
1 桟橋を自己所有している。
2 インフォメーションが充実。家族経営ゆえ。
3 収益の軸が実は迴漕業以外。
4 とても親切で色んなサービスをやる。宅配、新聞・牛乳・薬の配達など。

・無線インターネットの設置工事をした。ADSL程度になった。
・新しいものを物怖じせずにやっている。

・最近、農業参入した。
・白石の野菜を販路を見つけて出荷する仕事。
・昔は、米、綿、花をやってたが儲からないからやめた。
・島としての公式の農業出荷額は0。
・農業は参入障壁が高い。トレーサビリティーを押さえないといけない。農薬などの記録。
・敷居が高いので、勝手に生えてくる山菜などを扱う。記録が不要。
・天然・自然のものの方がバリューあがる。
・山菜はそれほど売れないのであんまりお金にはならない。
・販路ができて、モノをながせるフローができたのはよい。
・笠岡のスーパーで、週1で島のフェアをしている。
・産地直送というと、フレッシュなもの。葉ものとなる。これがめちゃくちゃ難しい。
・農業分野の失敗は勝手に作って売れない、ということ。大量に作っても売れない。
・これからは、売り場から逆算して、アジャイルに作る品目を決めて行くのがいいのかな。
・そういう方法をとっているのは、日本に3社くらい。
・売り場に置けるかどうかの選別。結局、100あるうちの40%は出せないもの。全国統計で。
・売れなかったものは加工品にするか、島で消費するかしかない。
・島の人にあげると、島内の流通も壊れる。
・乾物がよいことがわかった。
・水分含有量が50%以下なら保健所の許可なく勝手に売ってよい。
・昨年の冬に出した切り干し大根が大人気だった。倉敷のイオンでも売り切れ続出。
・マーケティングはスーパーがやってくれる。
・島のものを出すのは、そこに広告を出すようなもの。お金をかけずに広告を打つ。

・IT活用して島で何かできないか。
エイミー・チャベスさんが一番の成功事例。
・10数年前に来て、2ヶ月後に来るから家を探してくれといって帰って、本当に帰って来た。
・ジャパンタイムズのコラムニスト。海外向けのプレスをやってくれている。
・岡山に週1行ってラジオをやってる。iTunesの在日外国人のダウンロード数トップ。

・エイミーのいい言葉。何でこんな田舎に?
→白石はめっちゃ便利!
自分の実家は牧場で、3時間も車で走らないと買い物にいけない。
白石は30分だけ船に乗ったらいける。便利。
→オーシャンビューに安く住める!アメリカ西海岸は高い。

・中国からお嫁に来る人多い
→白石すごい。水も出る、電気も止められない。
中国は産業中心で工場が活発に動き出すと村は送電停止される。
日本人が求めてる便利さってどうなん。ほんとうにいるの?
コンビニって24時間開いてないといけないのか、いつも同じものが買えないといけないのか。
観光に来てネガティブなことを言う人の価値観を破壊する野に使える言葉。


続いて、タブララサを代表して自分が話したこと。

・約2年間、どんなことを白石島でしてきたのか
・島に来る/行くきっかけ作り
・島の人たちにとって、意味のあることをしたい

・何が島の人にとって幸せなのかなを考えたい。
・若い人がいなくなって人がいなくなってしまうのでは、ということが言われている。
・島に帰ってくる可能性が高いのは、島で育った人ではないか。その人たちに興味がある。
・子どもや孫は近くにいるのがいいのではないかというのを今は思う。島に限らないけど。
・島の人によって、島に来てほしいという言葉はやはり繰り返されている。
・2年通う中で、一度は白石島を訪れてみてほしいという思いを自分も持つ。

・島の人がやりたいけどやれないこと。
・若い人がいなくてできないこと。
・島にとってプラスとなるもの。
・島を知ってもらう、気になる、持ち帰って考えるとかそういうものが沸き起こる何かを考えたい。

・ゴミ分別が10種類とか。笠岡が徹底してるんだけど。
・そういうのが自然にできている。マナーが悪い、モラルがない、という人があんまりいない。
・こんな風にくらせれたらいいなという暮らしをしていると感じる。
・今は綿をやってるけれど、どんな風に関わりたいかというと、島にとって意味のある事をしたい。
・やる時に島のペースでやりたい。
そのときあるものを使う。季節に合わせて何かをやる。緩いというと違うけど、島でこそ楽しめる。
・一度白石を訪れた事によって、その人の生活が変わるきっかけの場所になればいいなと思ったり。

音声を聞き返してみると、こんな話をしていたようです。
特にまとめずに列挙したのですが、記憶は薄らいでしまっています。

それでも、島との関わり方については、思いは変わっていないことを確認できたように思います。

その他にも盛りだくさんでしたが、ひとまずこの2つの話に留めておきます。